TWEET「女房貸しても、万年筆貸すな」

 昨日のブログ、TWEET「カエサルのものはカエサルに」の下書きは、
ペリカンのボトルインク 4001 / 76 ロイヤルブルー」
を入れた万年筆
「ペリカン M 中字 スーベレーン M400 緑縞」(2018/12/29 に購入)
を用いて、久しぶりに原稿用紙のマス目をうめた。インクは30年も前に購入したものである。
 そして、学生時代に卒業論文を書くために大枚をはたいて買った、同じペリカンの年代物の万年筆には、
「ペリカンのボトルインク エーデルシュタイン オニキス」
を入れ、初稿に黒色のインクで “朱”を入れた。万年筆に黒色のインクを充塡したのは、はじめてのことだった。オニキスは艶のある上品な色合いをしている。
 推敲を繰り返しているうちに眼も当てられない状態になったので、早速PCに移行した。どんな文章を書くにつけ、10回程度の推敲を繰り返すのが習いとなっているが、誤字、脱字を改め、挿入と削除を繰り返し、文の前後を入れ替え と、推敲のすべてを紙の上で為すことを考えるとぞっとする。いまはありがたい時代である。が、かといって簡単に万年筆を手放すわけにはいかない。万年筆はワープロのように無機質ではなく、血が通っており、書く楽しみがある。
 いま上質の原稿用紙を物色している。
満寿屋の「原稿用紙 B5 200字詰め ルビ有り No.101」
は、手元にあるが、あまり面白くない。あと目ぼしきものといえば、「伊東屋 原稿用紙」,「北斗社 原稿用紙」と神奈川近代文学館が発売している、
「漱石山房原稿用紙箋」
「判型:B5判
25枚入り
橋口五葉デザインによる漱石特注の原稿用紙をほぼ原寸大に再現。当時の「朝日新聞」新聞小説の版組に合わせ1行19字詰。
神奈川近代文学館ではこの原稿用紙の木版版木、紙型を所蔵しています。」
くらいしか見当たらないのが現状である。ワープロ全盛のこの時代、原稿用紙業界は斜陽化が進んでいるということなのだろうか。
 「スーべレーン M400」は、使いはじめたばかりの新参者で、まだ当たりが取れていないが、卒論執筆中に用いた万年質はこなれている。
「女房貸しても、万年筆貸すな」
とは、P教授からお聞きした戒めだと記憶しているが、私の内では、いまもその教えは息づいている。