「漱石山房原稿用箋を前にして」

 神奈川近代文学館に依頼した「漱石山房原稿用箋」が、昨日届いた。原稿用紙収集品中の圧巻である。「原稿用箋」を前にして、漱石先生の苦楽を思う。


漱石山房原稿用箋の由来
「原稿紙は十九字詰十行の洋罫紙で、
輪郭は橋口五葉君に画いて貰つたのを
春陽堂に頼んで刷らせて居る。十九字
詰にしたのは、此原稿紙を拵えへた時
に、新聞が十九字詰であつたからであ
る。用筆は最初Gの金ペンを用ひた。
五六年も用ひたらう。其後万年筆にし
た。今用ひて居る万年筆は二代目ので
オノトーである。別にこれがいゝと思
つて使つて居るのでも何でも無い。丸
善の内田魯庵君に貰つたから、使つて
居るまでゞある。筆で原稿を書いたこ
とは、未だ一度も無い。」

ーー夏目漱石「文士の生活」(大阪朝日新聞
  大正三年三月二十二日)から
*神奈川近代文学館では、この原稿用箋の
 木版版木、紙型を所蔵しています。

以下、
神奈川近代文学館「漱石山房原稿用箋」
です。

漱石の「則天去私」
学生時代、
「雨が降ったら雨が降ったと書けばいい。
余計な形容をするから文章が駄目になる」
と、漱石先生は仰られているとのお話をうかがいました。
「『則天去私』は生き方の問題ではなく、文章を書くための作法である」
との解釈もおうかがいいたしました。
早稲田大学の清水茂先生の日本近代文学の講義でのことです。
清水茂先生の厚みのある心地よい声を今懐かしく思い出します。

以下、
「夏目漱石 生誕150年_まとめて」
です。