倉田卓次「地獄への道は善意で舗装されていた」


「The road to Hell is paved with good intentions.」

ーー ああ、これも「地獄への道を舗装している善意」の一種だな
と思った。

 この言葉を憶えたのはもう何年も前になる。先輩の岩野徹判事と司法行政を論じていた時であった。
 「まあ、あの人たちもそれぞれに、良かれと思って一生懸命やっているんですから…」
 「いや、それではいかん。政治的責任ある地位に座っている者の心掛けは、 “一生懸命やってます” では足りないんだ。きみ、 “地獄への道は善意で舗装されていた” という言葉を知ってるかい」
「知りません」
(後略)
倉田卓次「地獄への道」『裁判官の書斎』勁草書房(7頁)

怖い言葉ですね。以降、自戒の言葉にします。「かわいそう」という言葉にも細心の注意をはらっています。