TWEET「早春の湿原をゆく_一輪のタチツボスミレ」

 葦毛(いもう)湿原の駐車場に、16時半過ぎに到着した。自宅から 9km、29分の道のりである。
 長尾池のほとりに立つ、白木蓮が開花するのを躊躇(ためら)っている。「咲くのも散るのもただ潔く」
とは、こと木蓮に関してはいえないようである。木蓮には木蓮の事情があるのだろう。
 今日は湿原を尻目に、まず急登から登山道の分岐まで登った。半ほどまで登り、昨日と同じ岩に腰をおろした。しだいに森閑にまぎれていった。身動きもせず、木像になったかのようだったが、体は弛緩し、温もりを感じていた。脳裏に「かつ消えかつ結」ぶ物思いから、次第に放たれていった。まばたきが気になり目を閉じた。
 今日は分岐を左に折れ、登山道を登った。ゆっくりした歩調で、静かに歩を進めた。「一息峠」を目指した。「一息峠」から「神石山」(標高 325m)の頂上までは近い。次回には頂上に立つ予定である。
 日没を過ぎ、ヘッドライトの明かりを頼りに下山した。勝手知る道で平気だったが、不案内な道ではそうはいかない。野宿をして朝を待つしかないだろう。それには、それなりの装備が必要になる。
 明日は荒天の予報であり、明後日からは三連休である。雨はレインウェアでしのげるものの、人出は避けようがなく、四日間の歩行訓練後の四日間の休日、とは豪勢である。
 湿原の入り口の木道脇で、一輪の「タチツボスミレ」を見つけた。

「2022/03/17_タチツボスミレ」

「スミレ」と見聞きすれば、岡潔さんの風采が脳裏に浮かぶ。


「奈良市の自宅での執筆風景。岡 65歳の頃」


「奈良の自宅の前で思索にふける。65歳の頃」

ただ者ではない。ただ事ではない。