山村修『増補 遅読のすすめ』_読了

つい今しがた、山村修さんの書かれた『増補 遅読のすすめ』を読み終えました。

山村修さんは掉尾で、漱石が『吾輩は猫である』の中で書いた、

Do you see the boy
の、倉田卓次さんの読みを、
三橋敏雄さんの句、
かもめ来よ天金の書をひらくたび
の、北村薫さんの、また須永朝彦さんの読みを紹介されています。

鑑賞ではなく読みです。それは、遅読の末の末の末の結果としてたどり着いた、漱石の、三橋敏雄さんの、まさに抱いていた思いです。
倉田卓次さんや北村薫さん、須永朝彦さんの執念です。作家への、作品への想いの賜物です。

山村修『増補 遅読のすすめ』ちくま文庫


繰り返しになりますが、

本書では、山村修さんが遅読中にも、さらにゆっくりと読んでいるところ、立ち止まり、行きつもどりつしつつ、感慨にふけっている場面が、山村修さんの鑑賞文とともにふんだんに紹介されています。読書家 山村修の面目を再認識させられます。本書は「遅読のすすめ」であって、恰好の「図書案内」であって、「鑑賞の指南書」であって、私にとっては「作文のお手本」であって「作文の作法」です。