梅原龍三郎「春に送る」

「北京の空は裂けたか 梅原龍三郎」
白洲正子『遊鬼 わが師 わが友』新潮文庫

「小林秀雄さんは梅原先生の一番の理解者であった。」
「どういう縁でか、小林さんが慶応病院で亡(な)くなった時、梅原さんも一階上の病棟で呻吟(しんぎん)していられた。そんな時に、年下の友人を失うことは、さぞかし辛(つら)いことであろう」
「先生の深い悲しみは、小林さんの葬儀の際の弔電によく現れていた。」
「梅原さんでなくてはいえないような、直截(ちょくせつ)で、簡明な表現だった。」

   美しき春を迎えし時に
   悲しき報(しら)せを聞き
   在りし日の
   君を想うとき
    哀しみは
     限りなし

「これを聞いて感銘をうけぬ参列者はいなかった。」(189頁)
(「新潮」追悼号)