「京(みやこ)のかたな_会心の一振」

 2018/10/12 に京都国立博物館で、「京のかたな」展をみた。その際に誂えた「図録」が届いた。『特別展 京(みやこ)のかたな 匠のわざと雅のこころ』と題された「図録」は、「A4変形判」で 276頁、と大部で持ち重りのするものである。「図録」では二百件の刀剣が紹介されている。
 「表紙と小口の部分を開くと」、「吉光」と銘打った短刀の全体像があらわれる。「図録」を調べると下記の短刀であった。

重要文化財
四三 短刀
銘 吉光
(名物秋田藤四郎)
一口
鉄 鍛造 平造 三ツ棟
鎌倉時代 十三世紀
京都国立博物館(71頁)

第Ⅲ章 京のかたなと吉光(鎌倉時代前期ー中期)
 十三世紀初頭頃から京都・粟田口周辺に居住した刀工群を粟田口派と呼び、中でも後鳥羽上皇の御番鍛冶と伝える国友・国安を含む久国・国清・有国・国綱の六人がつとに知られています。地鉄の精緻さや焼刃の古雅さといった山城鍛冶の特徴とみられる作風の多くはこの粟田口派の作品を基準として語られる場合が多く、粟田口派の作品こそが京刀の典型と言えます。粟田口派は鎌倉時代を通して活躍し、国友の子とされる則国や彼に連なる国吉を経て、ついに稀代の名工・吉光が生まれます。吉光は山城鍛冶の一つの到達者であり、神妙無類の地鉄はここに極まり、その品位の高さは後に豊臣秀吉さえも虜にしました。
 この章では粟田口派の代表工全員の作品と吉光の傑作を紹介し、その抜きん出た技量と作品の放つ品格を堪能していただきます。(56-57頁)

吉光の会心の一振が、「図録」の表紙の中央を横断する格好で描かれている。そして、その部分部分は、表・背・裏表紙の意匠として具合よくおさまっている。