「おばあさんの知恵袋_二題」


「衣類についてしまったチューインガムの始末」
 灯油を含ませた布でふけばキレイに取れます。
 ハゼ釣り仲間の、戦後間もなく吉祥寺のクリーニング店に勤めていたという、出所不明?の、また小指をつめたと思われる痕跡の残る青木さんからおうかがいしました。
 不用意に川の堤防の階段に腰を下ろすと、そこにはガムが吐き捨てられており、早速青木さんにおうかがいをたてると的確な回答が返ってきました。
 昨日は父が裏口の門扉の下で、吐き捨てられたばかりと思われる、まだ温もりの感じられるガムを踏みました。青木さんのご伝授のおかげで難なくやり過ごすことができましたが、不愉快さだけはやり過ごすことができず、尾を引きました。



「ナメクジの退治法」
 こちらは、家庭教師先のおばあちゃんからおうかがいしました。
 コップにビールを半分ほど入れ、ナメクジの出没しそうなところに仕かけておくと、やがてビール飲みたさに集まってきたナメクジさんたちは、酩酊しご乱行の末(?)ビールの海の中で溺れ、なんとも幸せな最期をとげる、というからくりです。
 梅雨時にナメクジが大発生した年がありました。その際にはとても重宝しました。



お二人とも亡くなられましたが、私の記憶の中では今も確かに息づいております。