「おもしろうてやがて悲しき_ポッピン(ビードロ)」

歌麿の「ポッピンを吹く女」を目にするたびに、ビードロばかりが気になり、先日ひょんなことから、オンラインショッピングで購入できることを知り、早速注文しました。


「長崎びーどろ幸瓶」

「ビードロは長崎を代表するアンティークなギフトとして喜ばれております。
長崎開港により長崎に移り住んだポルトガル人が始めたガラス細工は「びいどろ」と呼ばれ、ポルトガル語の『Vitreo(ガラス)』が語源といわれています。」

鎖国中にはポルトガルとの交易はありませんでしたので、ビードロは安土・桃山時代の南蛮貿易で、ポルトガル人によってもたらされたものでしょう。

音を出すにはかなりの力がいります。かん高く大きな音がします。かそけく哀しい音色を想像していましたので、興ざめがしました。しかし、これしきのものではあるまい、と思い直し、試行錯誤しているうちに、ほおを膨らませぎみにして、口の中の圧力を高めて吹くと、容易に音が出ることがわかりました。吹いて、「ポッ」っと音がした後、止めた息をしばらくそのままにして、「ペン」っと鳴らすと、哀愁を帯びていい感じになります。

ポッピンを手に、時折、「ポッ」「ペン」と鳴らし、物思いにふける当時の女性たちのことを思ったとき、漱石先生ならば、きっと、「呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする。」(『我輩は猫である』)とでもいったような気がしてなりません。

ビードロは、ガラス細工ですので透明感があり、華奢です。模様は異国情緒を感じさせます。

ポッピンを哀しきひとり遊びの玩具(おもちゃ)とするには、いま少し時間と工夫が必要なようです。