本居宣長「七種鈴」

鈴屋遺蹟保存会「本居宣長と鈴」
「鈴屋とは、三十六の小鈴を赤き緒にぬきたれて、はしらなどにかけおきて、物むつかしきをり引きならして、それが音をきけば、こころもすがすがしくおもほゆ。そのすずの歌は、
    とこのべにわがかけていにしいへしぬぶ
     鈴がねのさやさや
 かくて、この屋の名にもおほせつかし。 宣長 」

 私が、「本居宣長記念館」内の「ミュージアムショップ 鈴屋」さんで求めた七種鈴(松坂万古)」は、「門人知友」によって贈られた、「現在鈴屋遺蹟保存会に遺されている(七つの)遺愛の鈴(「鉄或は青銅で造られた古鈴」)」の「松坂万古」版である。
 私は鈴を、七曜に分け、毎日一つずつ机上に置き、手遊びにしている。「七曜鈴」である。
 この数日間はといえば、恨めしくも、メールや SMS への返信、電話の応対に忙しく、「物むつかしきをり」なく、専ら「魔除け」として、鈴を振るばかりだった。こういった事態には、低い音(ね)の鈴がよく、と知らされたことが、唯一の収穫といえば収穫だった。
「物むつかしきをり」と「鈴の音」との相関については、いまだ不分明であるが、「物むつかしきをり」なく、秋の実りなし、とは自明なことである。