井筒俊彦「「Ⅶ スーフィズムと哲学的思惟」

 『イスラーム哲学の原像』岩波新書 は、イスラームの神秘主義(スーフィズム)を代表する、イブン・アラビーの実在体験と、その後の哲学的思惟によってなった、「存在一性論」的形而上学についての論考を主題としている、といってしまえば簡単だが、内容はそんなに浅薄なものではない。
 いま、「Ⅶ スーフィズムと哲学的思惟」にさしかかった。
 話は、
「イスラームの神秘主義、スーフィズムはどのような点で哲学的思惟と結びついていくか」(104頁)
におよぼうとしている。
「その最初の、そしておそらく最も偉大な代表者がイブン・アラビーとスフラワルディーの二人であります。」(104頁)
との記述もみえ、佳境に入った感がある。
 井筒俊彦の精緻な哲学の文章を繙くには相応の労力を要する。切迫した際には、寝むにかぎり、桜咲き華やぐ候、一人惰眠を貪っている。