「拝復 P教授様_言葉が生まれるのを待つ」

 作文を書いている最中に、あるいは推敲中に、文章をぼんやり眺めていると、無意識のうちに、適当な語が浮かんでくることがあります。これらの言葉は、深層から表層にのぼってきたもので、きわめて的確です。我知らず、忘却の彼方より、適切な一語が、ということです。
 これは深層意識のなせる技であり、深層領域には、我々が見聞したことのすべてが記憶されていることの証左であると、私は受け止めています。
 小林秀雄は、「机の前に座って言葉が生まれるのを待つ」といい、「言葉が言葉を生む」といっています。「どんな作品になるか、はじめからそんなことが解っていたら、おもしろくないじゃないか」とも発言しています。

 井筒俊彦も、「机の前に座って言葉が生まれるのを待つ」と書いています。
 彼らの「書く」という営為は、両氏の「実存体験」であって、それらの作品は、彼らの「存在論的風景」であると、私は勝手に認識しております。

たびたびのお便り、どうもありがとうございました。
FROM HONDA WITH LOVE.