TWEET「毀誉褒貶」
叔父は謙虚な私のことを、図々しくも、 図々しいと呼び、憚(はば)からない。そう呼ばれるたびに私は、だらしなくへらへらし、ヘラヘラと力なくほくそ笑んでいる。 たとえば、ドラッグストア内で、吊ってある大見出しを一覧し、求める商品の在処(ありか) がわからないと、私は商品ではなく、 店員さんを探す。店員さんは、主に商品の 補填をする方たちであり、細々した品物の所在を実によく心得ている。その場で商品の説明をうかがうこともある。 かつて二度、 「あっち!」 と、横柄に指をさされたことがある。 「あっち!?ではわかりません」 というと、 売り場まで案内してくれた。 年寄りあつかいされたのだろうと思っている。 さらに店員さんが首尾よく見つからない際には、レジで、専門のコーナーの担当者の方を呼んでいただく。 事ここに極まれり。 こうして私の狼藉が行き着くところまでいくと、 「お前の図々しさはたいしたものだ。俺にはとても適わない」 と、叔父から最大級のおほめの言葉をいただくことになる。 先日、 そんな叔父が、 「このごろ 俺も図々しくなったよ」 と言っていた。 慶事である。 ようやく叔父も “かしこい消費者” になりつつあると、 喜んでいる。