「富嶽遥拝の旅_小夜の中山,富士山本宮浅間大社,本栖湖_梅雨のはしりの晴れ間に」

  梅雨のはしりの晴れ間に、富嶽遥拝に出かけた。8時に出立した。当日14時から翌日14時まで、快晴の予報だった。


2022/05/14
◆「EXPASA 浜名湖(上り)」
 雨が上がり風が出た。風雨が塵埃を一掃し、空気が澄んでいたのだろう。前回にもまして、対岸の景色がはっきりうかがえた。
◆「道の駅 掛川」
◇「山の坊」
「遠州そば」と「自然薯とろろ汁」をいただいた。
◇「お茶処 東山」
「新茶 天與(てんよ)の雫」と「限定 新茶 生茶 大走り」をセットにして、二軒に送った。
 試飲した「新茶 さえみどり」は、甘くまろやかだった。お手ごろなお値段で、自家用に購入した。
◆「小夜の中山」
 車を下りると、北西の風が吹いていた。富士の峰(ね)に向かって吹く風は、「天與の風」であることを前回学習した。期待が高まった。


 白雲にふわりと包まれた霊峰は神々しかった。頂上付近の幾筋かの谷には残雪がみられた。


 目前に広がった茶畑は、雨に洗われて美しかった。
「小夜の中山峠」は、「箱根峠」,「鈴鹿峠」と並ぶ、東海道三大難所の一つである。峠に立った旅人たちにとって、富士の高嶺は、格別に映ったことだろう。

◆「小夜の中山 浮世絵美術館 夢灯(ゆめあかり)」
 個人の収集である。一年を四期に分けて各テーマにそって展示されている。
 今回のテーマは、「日坂(にっさか)・掛川の宿展」だった。40の作品が掲げられていた。「廣重」,「北斎」のものが多く、そのほかには、「豊國(とよくに)」,「爲信(ためのぶ)」,「巴水(はすい)」のものが散見された。
 来館者は私ひとりで、館長さんにはつきっきりで解説していただいた。中学校の社会科の先生をされていたということで、丹念だった。
 浮世絵は、絵師・彫師・摺師、三者の共同(分業)作品であるが、いまでは絵師の名が伝わるばかりである。しかし、宿屋の前の幟(のぼり)に、彫師や摺師の名前が忍ばせてあったりするから、おもしろい。また、絵師によっては下絵に色をつけず、ここは「青」と書くのみで、初刷を見た具合で、色を修正することもあった、というから呑気なものである。館長さんは、彫師を最も評価されていた。
 私が、廣重の「大はしあたけの夕立」の雨脚のことを口にすると、「大盗人」の鬢(びん)の生え際を見るように、ルーペを渡された。髪の毛一本、一本が執拗なまでに描き込まれていた。ぼかしではなかった。木版であるから、周りを彫り進み、髪の毛一本、一本を残した、ということである。桜の版木の木目が写っている浮世絵があり、版木に凹凸をつけ模様にした浮世絵があった。また、雨上がりのことか、打ち水でもしたのか、路面が光っている絵があったが、なぜ濡れているようにみえるのかは、不明のままだった。
 江戸時代の文化は町人がになった大衆文化である。浮世絵は名所案内であり、ブロマイドだった。一部がおよそ蕎麦一杯程度の値段だったという。まず、100部刷り、人気のある作品は1000部以上売れたという。こうなると版木が傷み、細部はつぶれてしまうそうである。
 2時間あまりの長逗留だった。次回は、「袋井・見附の宿展」である。
 浮世絵の色には、深みがあり、滋味がある。私の眼は終始、その色づかいの妙味を追っていた。三者の共同作品にしてはじめて出る色のような気がしている。
 江戸時代、町人文化とてじゅうぶんに粋だった。
◆ 峠の茶屋「扇屋」
 「浮世絵美術館 夢灯」を出て、「扇屋」さんに向かった。前回と同じ、「子育飴」と「ミネラルウォーター」を買った。東海道を歩く人の姿が見られた。
◆「EXPASA 清水(上り)」
 設計が、抜きん出て美しいサービスエリアである。コンシェルジュで、「富士山本宮浅間大社」の駐車場のことと、近場の温泉のことを尋ねた。丁寧に応接していただいた。
◆「富士山本宮浅間大社」


 全国に1300社ある「浅間神社」の総本社である。
 再訪だった。「神札」を求めた。
 曇り空が広がっていた。北に見えるはずの富士の姿がなかった。思いもよらぬことだった。

◆「大阪屋」
◇『大特集 富士山_山と溪谷 2019 No.1015 11』山と溪谷社
で紹介されていた「大坂屋」さんで、「富士宮焼きそば」をいただいた。
 もっちりとした太めの麺に甘めのソース、イワシの削り粉がかけられてこくがあり、上には半熟の目玉焼きがのっている、のが主だった特徴である。
「富士山本宮浅間大社」から 10分ほど、坂のある町を歩いた。写真と瓜二つの女性(ひと)だった。盛りだくさんの具が入っていた。
「また来ます。お元気で、どうぞ」といって店を出た。
◆「イオンモール 富士宮」
 夕闇もせまり、ゆっくりしたかった。
「モール」なるところに、はじめて足を踏み入れた。多数の店舗が出店している一大市場である。活気があり、明るく清潔だった。このような大型商業施設ができれば、人の流れが変わり、そこに栄枯盛衰がみられるのは当然のことだろう、と思った。
◇「倉式珈琲店」
 あっさりした珈琲を、とお願いすると、「東ティモール サンライズマウンテン」を勧められた。思い通りのさっぱりした珈琲だった。なにをするともなく、つい長居をした。
◆「富嶽温泉 花の湯」
 鷹揚な作りの温泉だった。
◆「マクドナルド 富士宮店」
 車中泊。

2022/05/15
◆「富士山本宮浅間大社」
 開門の5時に合わせて参拝した。


◆ 「白糸ノ滝」
 白糸を織りなし布となす。「白糸ノ滝」こそ「瀑布」という名にふさわしい。
 年間を通し水温 12℃、1.5トン/秒の湧水は、壮大な「雨漏り」だった。


◆「本栖湖」
 本栖湖まで足を伸ばしたが姿は見えず、湖岸を一周しようと思ったが断念した。
◆「イオンモール 富士宮」
「倉式珈琲店」
「倉式ブレンド」「倉式モーニング」をいただいた。
 その後、屋上に向かった。富士宮で遥拝した、唯一の富士の峰(ね)だった。予想以上に雄大だった。


◆「EXPASA 清水(下り)」
 素通りするのは忍びなかった。

 夕方帰宅した。
「小夜の中山」には期待していなかった。「小夜の中山 浮世絵美術館 夢灯」を観覧し、「扇屋」さんに顔を出せば、それでよかった。
 富士宮で富士の雄姿を遥拝できないとは予想外のことだった。再訪を期している。