「渡岸寺往還」

2022/04/01
小雨のそば降るなか、2:30 に出立した。起き抜けのことだった。花冷えで寒い夜だった。

◆「Hotel & Resorts NAGAHAMA(喫茶室)」
強風が湖面を吹き渡り、琵琶湖はいつになく荒れていた。

「2022/04/01_琵琶湖(長浜)」

琵琶湖を眺めながら、一昨夜見た、
◇ 濱口竜介 監督・脚本ドライブ・マイ・カー」
のことを思っていた。
◇ 濱口竜介 監督・脚本ドライブ・マイ・カー」
を払拭するために、衝動的に家を出た。文学はもうたくさんだった。
◆「渡岸寺(どうがんじ)」

「2022/04/01_渡岸寺」

 美しく、慈愛に満ちた観音さまである。永劫を生きるお姿は不動だった。
 観音堂は鎮まっていた。文学の沈黙とは自ずと異なる寂静がここにはあった。救いがあった。御前のベンチに座り、うつらうつらしていた。年度はじめの、私の “祀り ” だった。
「伊吹山 PA (上り)」
「伊吹山 PA (上り)」より、薄らと残雪を戴いた霊峰を望んだ。

「2022/04/01_伊吹山」

京都・奈良大和路への旅は、コロナ禍のため今回は断念した。
◆ 「養老の滝」
 帰途 孝子伝説で知られる「養老の滝」を訪れた。小学生のときに家族と行って以来、50年近くの歳月が経っている。全くの気まぐれだった。
 桜が満開だった。
 道が登りにさしかかった辺りに位置する「吉田商店」さんで、養老の天然水「龍泉の雫」を買い、口をうるおしながら 30分ほど登った。

「2022/04/01_養老の滝」

 落差 32m、幅 4m の滝は水量も多く、みごとだった。しばらくの間 飛沫を浴びていた。
 スマートフォンで写真に収めると、間もなく踵を返す方たちが目立つ。落ち着きを欠き、忙しない旅の形態が広がっている。
 帰路、再び「吉田商店」さんにお邪魔した。隣接して「ひょうたんらんぷ館」が建っている。
「自家栽培のひょうたんに / 穴をあけて / らんぷを作りました / その光は やわらかで / それぞれが 違った輝きを持っています / 手作りの灯りを / 心ゆくまで ご覧ください」(ー 岐阜県 養老郡 ー ひょうたんらんぷ館)
「吉田商店」の奥さまが「ひょうたん」に下絵を描き、ご主人が穴をあける。一年に10個ほどの「らんぷ」しかできないそうである。16年間の貴重な作品の数々を、説明していただきながら、拝見させていただいた。


「2022/04/01_ひょうたんらんぷ館」

帰りには、「創業明治23年 日本最初のサイダー」「YORO Cider 養老サイダー」をお土産にいただいた。

 帰途 諸処で仮眠をとりながら、22:30 過ぎに自宅にたどりついた。帰宅後 間もなく深い眠りに落ちた。
 少し足を伸ばせば、きまって観音さまを拝することのできる幸せを思う。