「渡岸寺、興福寺国宝館,東金堂と春日大社、東大寺ミュージアム 巡拝」

2022/04/20
 23時過ぎ、小雨がそぼ降るなかを出立した。GW を前にして、「渡岸寺(どうがんじ)」さんの「十一面観音立像」と「興福寺国宝館」の「阿修羅像」だけは、どうしても拝観したかった。

◆「養老SA」
 車中泊。定宿になりつつある。

2022/04/21
◆「Hotel & Resorts NAGAHAMA(喫茶室)」
 薄墨色をした琵琶湖を見るのは、はじめてのことだった。風が吹き渡り、湖面は荒れていた。

「琵琶湖(長浜市)」

◆「渡岸寺」
 観音さまは、今回も不動だった。不動の御姿には内容の充溢がある。なかなかに人はこうはいかない。動けば均衡がくずれる。くずれれば、がさつになる。
 時の経過とともに鎮まり、「汚れちまつた悲しみ」のままに、救ってくださるような気がしてならなかった。


◆「十割蕎麦 坊主bar 一休」
 湖北で栽培された、籾(もみ)のままを挽き、打った蕎麦は、ほんのり甘かった。手作りのログハウスでの営業と、こちらも手抜かりはなかった。
◆「PIERI MORIYAMA」
 びわ湖大橋東詰に位置する、ショッピングモールの一角にある、
◇「守山湯本 水春」
にて入浴。
◆「マクドナルド びわ湖大橋店」
 車中泊。
びわ湖大橋店」は、びわ湖大橋西詰に位置している。
 翌朝、「湖西線(こせいせん)」「堅田駅(かたたえき)」脇に駐車し、「堅田駅」から「京都駅」、「京都駅」から「近鉄奈良線」で「近鉄奈良駅」下車、というのがいつもの道順である。

2022/04/22
◆「興福寺国宝館」
「帝釈天立像」「天燈鬼立像」「龍燈鬼立像」、そして何よりも「阿修羅像」の参拝・拝観が主目的だった。
 慈愛に満ちた「帝釈天立像」にまみえた。
「阿修羅像」の細っそらした腕は、はかなく、哀しみを覚えた。厳しい顔つきをしている。どこといい、焦点の合っていない眼は、何かを見つめる眼ではなく、何をかに耽(ふけ)っている眼である。翻った裳の、縁どられた金色が美しい。
 小中学校の修学旅行生の隊列が、私の前を流れていった。
「興福寺国宝館ショップ」にて、
◇「興福寺 中金堂再建記念 奉祝 御香」
◇「宝相華文のマスク(黄色)」
を購入した。
◆「興福寺 東金堂」
 はじめての参拝だった。ほの暗く雑然としていて、よく分からなかった。予習が必要だった。

「猿沢池と五重塔のある風景」

◆「奈良ホテル ティーラウンジ」
「奈良ホテルオリジナルブレンドコーヒー」と「ホテルパティシエがお届けするこだわりの春限定ケーキ」「萩原農園の苺とティーファーム井ノ倉の大和茶ムースタルト」のセットを注文した。
 ひとりその場にひそむことのできる、静かな空間がうれしい。
◆「春日大社」
「一之鳥居」の前にて一礼し、長い参道を歩いた。「御本殿」は貧素で、粛々とした感じが見うけられず、残念だった。フジの花が見ごろを迎えていた。
 帰宅後検索すると、20年に1度の「若宮式年造替」の年にあたっていた。「式年遷宮」とは異なり、「造替」は参拝する者にとってはさびしい。再訪を約している。
◆「マクドナルド びわ湖大橋店」
 車中泊。いつしか定宿となった。

2022/04/23
◆「興福寺国宝館」
 9時の開館を待って拝観した。
「阿修羅像」の前に立つと、とたんに身動きができなくなる。一指のかすかな動きが波紋をよび、すべてが無に帰するような心地がし、息をひそめていた。
 いつしか監視員の方たちの立ち位置に倣い、その場から拝観するようになった。拝観の方たちの邪魔にはならずとも、監視員の方たちにとっては迷惑なことだろう。
「乾漆八部衆立像」のなかでも「迦楼羅像」の衣紋は、入念な細工が施され、殊に美しい。
「興福寺国宝館ショップ」にて、
◇ 監修 興福寺『阿修羅を究める』小学館
◇ 多川俊映『阿修羅像のひみつ 興福寺中金堂落慶記念』朝日選書
を購入した。
◆「奈良ホテル ティーラウンジ」
 昨日と同様に、「奈良ホテルオリジナルブレンドコーヒー」と「萩原農園の苺とティーファーム井ノ倉の大和茶ムースタルト」のセットを注文した。今回の旅の目玉は、「萩原農園の苺とティーファーム井ノ倉の大和茶ムースタルト」をいただくことにあったような気がしてならない。「萩原農園」さんの朝摘みの苺は格別だった。奈良くんだりまでケーキを食しに、しかしその甲斐はじゅうぶんにあった。「春のスペシャルケーキ」である。急がなくっちゃ!!
◆「東大寺ミュージアム」
「塑像日光菩薩立像」,「塑像月光菩薩立像」の放つ光は尊く、覚えず合掌した。
 また、「四天王立像」は、表情・肢体、どれ一つをとってみても輪郭がはっきりしていて、すべてにおいて明るい。「戒壇堂」が「保存修理及び耐震化工事の為」、いま「東大寺ミュージアム」に安置されている。聖武上皇、光明皇太后らが鑑真和上から戒を授かった翌年 建立された堂宇である。

「東大寺」

◆「モンベル 東大寺門前店」
 足が悲鳴をあげていた。こんなこともあろうかと、デイパックにサンダルをしのばせてきた。履き替えた革靴を入れるために、「U.L トート」を、また「WIC.サポーテック トラベル ソックス」を買った。しかし、結局は素足にサンダル履きで歩いた。
◆「伊吹PA(上り)」
 工事中で何もないのは承知していたが、『神々の山嶺(いただき)』を見過ごすわけにはいかなかった。

「伊吹山の威容」

◆「守山PA」
 仮眠のつもりが、目を覚ますと夜が明けていた。

2022/04/24
 午前中に帰宅。

 その後 数日間眠りほうけていた。訓練の賜物か、デリカシーの欠如か、車中泊とはいえ睡眠はじゅうぶんにとっていた。歩き疲れた。普段の引きこもりの生活が災いした。旅行前には歩行訓練が必要なことを知った。
◇『芸術新潮 2009年03月号 特集 興福寺創建1300年記念 阿修羅のまなざし』
を注文した。「興福寺国宝館ショップ」にて購入した、
◇ 監修 興福寺『阿修羅を究める』小学館
◇ 多川俊映『阿修羅像のひみつ 興福寺中金堂落慶記念』朝日選書
の2冊と合わせ、いま 3冊の「阿修羅像」に関する書籍があるが、そのままにしてある。自分の内の「阿修羅像」のイメージを大切にしたい、という思いがある。事実はいつも正しいとはかぎらないだろう。
 ではなぜ買ったのか、生来の悪癖だから仕方がない。恨むといえば、親を恨むしかないだろう。