「二日遅れの立冬の日に思う」


「きっぱりと冬が来た」
という実感は、木々が色づきはじめたばかりの当地ではありませんが、積雪が根雪となり、「真冬」の候を迎えた地方もあるかと拝察いたします。雪国のご苦労がしのばれます。

冬はやはり、「きっぱりと」きてほしいものです。「きっぱりと」やってこない冬は、どこか間のびしていて、しまりがなく、きまりが悪くて落ち着きません。

迎えた今冬の、皆様方のご健康とご多幸、またご活躍をお祈りしております。

以下、高村光太郎『道程』より「冬が来た」です。

「 冬が来た」  
きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒(ほうき)になった
 
きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た
 
冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
 
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た