「絶対的な北はありませんという驚き その一」


 絶対的な北がないことを知ったときの、驚き、戸惑いは、今も記憶に鮮やかです。今後なにを手がかりにして生きていけばいいの、と大仰なことを思いもしました。

 この商売にたずさわって、はじめて知ったことがたくさんあります。なかでも天体の分野は、驚きにみちています。不思議な世界です。私は、愛知県公立高入試の問題が解けるほどの知識しか持ちあわせていません。

 「絶対」的な存在があることの強さ、「絶対」的な存在がないことの弱み。「絶対」的な存在があることの確かさ、安らかさ、「絶対」的な存在がないことの頼りなさ、心もとなさ。そして、「絶対」的な存在があるがゆえの頑なさ、危うさ、怖さ。

 以来、「絶対的な北はない」ことの示唆することを折りにふれて考えています。


「絶対的な北はありません、という驚き その二」へと続きます。