TWEET「誰も経験したことのない夏」

TWEET 「東方最大離角」
「金星が東方最大離角 2020年3月25日」との通知があった。しかし、昨夜は薄ら寒く、外出する気になれなかった。正確に時を刻む天体の運行とそれに歓心を寄せる人たちがいることを思うと、そこはかとない情感に包まれる。
 春は「きっぱり」とはなかなかゆかない。春寒は苦手である。今宵の明星への歓心は春寒をしのぐか、と暇にまかせて、「のたり のたり」考えている。
 『夏は来ぬ』は名曲である。佐々木信綱作詞,小山作之助作曲の唱歌である。岡崎裕美の歌で聞いている。夏の訪れは潑刺としている。

「夏は来ぬ」
卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ホトトギス) 早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

さみだれの そそぐ山田に
早乙女が 裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる 夏は来ぬ

橘(タチバナ)の 薫る軒端(のきば)の
窓近く 蛍飛びかい
おこたり諌(いさ)むる 夏は来ぬ

楝(おうち)ちる 川べの宿の
門(かど)遠く 水鶏(クイナ)声して
夕月すずしき 夏は来ぬ

五月(さつき)やみ 蛍飛びかい
水鶏(クイナ)鳴き 卯の花咲きて
早苗(さなえ)植えわたす 夏は来ぬ


 夏が来た。が、雲行きが怪しく、
「新型コロナウイルスと熱中症という両方への対策せざるをえない、誰も経験したことのない夏になる。」
とは、帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センターの三宅康史センター長の発言である。

 のっぴきならない人事ゆえに、いつになく夏の風物が愛おしく感じられる。こんな時季にこそ、目を凝らし耳をそばだてて、日本の夏を歳時として受け止めたいたいと思っている。